← Back to PROJECTS

西尾市生涯学習センター(仮称)
Nishio city lifelong learning Center (tentative)

設計
斎藤信吾建築設計事務所
施主
愛知県西尾市
所在地
愛知県
用途
生涯学習センター, 集会場, 事務所, 子供の遊び場, 公園
構造
S
規模
地上1
敷地面積
8085.67㎡
延べ面積
約2800.00㎡
状況
進行中
竣工
2026/12(予定)

西尾市生涯学習センター(仮称)設計者選定設計競技 最優秀案

へだたりながらもひとつながり

西尾市が整備する西尾市生涯学習センター(仮称)は、多世代交流の拠点として、市民の学びと交流を支えるとともに、多様な背景を持つこどもたちの居場所を包括的に担う複合施設です。施設には、あゆみ学級やコンパス、KIBOUといった支援機能、相談室、こどもの遊び場を含む多世代交流広場、各種貸室、さらには行政の出先機能などが一体的に計画されており、学習・福祉・交流の機能が横断的に連携することが大きな特徴です。こどもから高齢者まで、また国籍や文化、個々の特性の違いを越えて、誰もが安心して過ごせる居場所が求められています。

本提案では、そのような複雑で多様なニーズに応えるため、「へだたりながらもひとつながり」というコンセプトのもと、あたらしい生涯学習センターの「かた(typology)」を提示しました。

ミックスジュースとフルーツポンチ

本計画では、交流を好む人だけでなく、ひとりで安心して過ごしたい人にとっても居心地のよい環境を目指しています。人との関わり方や距離感は一人ひとり異なり、その違いを受け止めることが、これからの公共施設には求められています。そこで本提案では、異なる過ごし方が無理なく共存できる環境をつくることを重視しました。

従来の公共施設は、多くの人が集い交流することを前提に、異なる要素が一体となって均質化される「ミックスジュース型」 の空間が中心となることが一般的でした。このような空間は賑わいや一体感を生み出す一方で、静かに過ごしたい人や、他者との距離を大切にしたい人にとっては、居場所を見つけにくい場合があります。

そこで本提案では、個々の居場所が独立性を保ちながら共存する「フルーツポンチ型」の空間を重ね合わせました。フルーツポンチのように、それぞれが固有の形や個性を保ちながら同じ場に存在する状態を空間として実現し、安心して過ごせる専有的な居場所を分散的に配置します。そして、この「フルーツポンチ型」の空間と、「ミックスジュース型」の交流空間をゆるやかに重ね合わせることで、交流を楽しむ人も、静かに過ごしたい人も、それぞれのあり方で同じ場所に居続けることができる環境をつくり出しています。

三角形の敷地をつなぐ「逍遥空間」

計画敷地は三方向を異なる性格の都市環境に囲まれた三角形敷地であることから、建物に明確な「表」と「裏」を設けず、すべての方向に正面性を持たせました。その外周に沿って回廊状の「逍遥空間」を配置し、この空間を施設全体の骨格としています。逍遥空間は単なる通路ではなく、歩き、留まり、滞在し、偶発的な交流が生まれる縁側のような場であり、「ミックスジュース型」の緩やかな共有空間として機能します。

一方で、あゆみ学級やコンパス、KIBOU、相談室などのプライバシー性が求められる諸室は、公園内に分棟形式で配置され、それぞれが独立した居場所として存在します。これらは「フルーツポンチ型」の空間に相当し、高い安心感と落ち着きを確保しながら、必要に応じて外部との関係を調整できる環境としています。分棟同士は逍遥空間や公園を介してゆるやかにつながり、全体として一体的に利用できる構成となっています。

こどもの成育環境の視点からは、静かな居場所と賑やかな交流の場を適切にゾーニングし、安心して過ごせる環境を整えました。多世代交流広場や遊び場は開放的で活気ある空間としつつ、支援機能を担うエリアは落ち着いた環境に配置しています。すべての諸室が公園や中庭に面することで視認性を確保し、見守りやすい安全な環境を実現しています。また、通学動線と重なるように施設を開くことで、地域の日常と連続する場を形成しています。

建築は平屋構成とすることで高い避難安全性とバリアフリー性を確保し、誰もが利用しやすい施設としました。半屋外の逍遥空間や木質空間を取り入れることで、環境負荷の低減と快適性の両立を図っています。さらに分棟形式とすることで、将来的な用途変更や維持管理の柔軟性にも配慮しています。

あたらしい生涯学習センターの「かた(typology)」を目指して

本提案は、各室の独立性と多様な交流の両立、公園と建築の一体化、そして地域に開かれた空間構成が高く評価され、最優秀案として選定されました。

多様な人々がそれぞれの距離感を大切にしながら、ゆるやかにつながることのできるこの空間は、これからの共生社会にふさわしい公共建築の新しいあり方を示すものと考えています。

#コンペティション・プロポーザル, #ワークショップ

← Back to PROJECTS