← Back to PROJECTS

国登録有形文化財辻陶房改修プロジェクト
辻清明ミュージアム

設計
斎藤信吾建築設計事務所
所在地
東京都
用途
住居, 博物館・美術館
敷地面積
約996㎡
延べ面積
234.66㎡
状況
進行中
竣工
2030/01(予定)

国登録有形文化財辻陶房改修プロジェクトは、多摩市連光寺の里山環境に位置する、陶芸家・辻清明の主屋と登り窯からなる文化的資産を対象とし、その価値を継承しながら現代に活かすことを目的とした計画です。本建築は1955年に建設され、住居と工房が一体となった空間構成や、敷地の高低差を活かした登り窯の配置など、生活と制作が不可分に結びついた独自の建築的特徴を有しています。

本プロジェクトにおいて重視されたのは、単なる「復元」ではなく「復原」という考え方です。すなわち、過去のある時点の状態に戻すのではなく、この場所で営まれてきた生活や制作の痕跡を読み取り、その本質を現代に引き継ぐことが求められました。特に、土間を中心とした空間構成や、作業場と住居が交差する動線といった特徴は、この建築の核として維持・再解釈されています。

具体的には、既存の構造や素材を可能な限り活かしながら、新たに「プラットフォーム」と「ガラス壁」を挿入することで、空間の読み替えを行っています。これにより、歴史的な建築の連続性を保ちながらも、現代の利用に応じた開放性や可視性が付加されました。また、改修にあたっては建物を一度空にするのではなく、生活や活動を継続しながら段階的に手を加えていく方法が採用されており、時間の積層そのものを設計の一部として扱っています。

さらに、1969年前後の増改築や設備更新といった履歴も踏まえ、建築が長年にわたり変化し続けてきたプロセスを尊重する姿勢がとられています。 その結果、本計画は文化財的価値を保存するだけでなく、現在進行形の生活と創作の場として再生する試みとなっています。

このように辻陶房改修プロジェクトは、建築を固定された「完成形」としてではなく、時間とともに更新され続ける存在として捉え直し、歴史・生活・創作が重層する場を現代に再接続する、新たな保存再生の「かた」を提示するものです。

#改修, #保存計画, #辻清明, #登窯, #国登録有形文化財

← Back to PROJECTS